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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
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2014年10月30日 (Thu)
マスク・オブ・アイスの誕生


 “仮面の子供たち”の構想は、計画の初期段階から存在していた。セレビィの挙動や、新しい情報や非公開情報を手に入れるべく、ジムリーダーになる必要性を見出したときから考えに入れていたことだ。ジムリーダーになれば貴重な情報を得ることはできるが、その代わりに身動きが取りづらくなる。それを補完する機動力が、いずれ必要になるだろうと思っていた。にも関わらず実現に長い時間を要したのは、念入りな準備が必要だと判断したからだ。
 大人は信用ならない、自分で判断をする。蓄えた多くの経験や知識、既に確立されたアイデンティティ、支配者となるべき男の手の届かないところが多過ぎる。それに比べて子供は容易く支配できる、彼らは専ら大人を必要とするものだ。大人を必要とする子供がいい、特に厭世観のある、周りの大人を見下していて、しかし自分に値する優良な大人を求めずにはいられない子供がいい。見下すというのは決して悪い要素ではない、見下すものは見上げることも知っているからだ。
 しかし真に望ましいのは物心もつかないほど幼い子供だ、とも男は思った。経験も知識も、記憶すらも無いまっさらな子供に、男の思想を植え付けるのだ。他に何も与えないことだけに注意すれば、完全な支配が実現する。もちろん使い物になるようになれば、何も与えないというわけにもいかないだろうが……、半永久的な支配だ。その子供が何を考えるにしろ、何をするにしろ、男の教えた思想と束縛された記憶は、呪いのようについてまわるだろう。
 だが、時間がない。セレビィの出現時には、即戦力となりうるだけの年齢の人材がいることが望ましい。であれば、ある程度年長の子供も欲しいところだ——となれば、早いうちから手を打たなければなるまい。しかし子供達を養成するだけの環境を準備できるか。止むを得ないが、しばらくは実家を使えばいい。ジムリーダーはジムで寝泊まりする者が多いから、自宅は盲点だろう。加えて男の実家は山奥にあったから、尚更都合が良かった。
 だからといって、至極幼い子供を育て上げる意味がなくなったわけではない。年齢が上がれば上がるほど子供のうちで男の把握する部分は小さくなり、支配は難しくなるだろう、切っ掛けさえあれば容易く謀反しかねない。そうなったときの保障として、支配できる子供を用意しておくのは悪くない。彼らは本当に念入りに育てなくてはならない……、誰かが謀反したときに、その存在を抹消できるだけの実力と倫理観を植え付けることが重要だ。そのために情という概念を出来る限り小さくしなければならない、その一環として、仮面をつけ、表情を消すことを思いついた。
 そしてもう一つ忘れてはいけないこと……、己の存在を誰にも知らせないことだ。ジムリーダーだからといって、全てを手先に任せられるほど男は楽天家ではないし、むしろその逆だった。必要とあらば積極的に動き、自分の目で確かめなくてはならない。手先の動向を監視していなければならない。仮面はそういう意味でも有用だと思ったが、ジムリーダーたる自分の正体を隠すためにはとても追いつくものではない。そこで考えついたのが氷人形だった。悪くはないと思った。年齢も背丈も性別も、あらゆるパーソナリティを隠してしまうことができる。何より肌を刺す冷気が、あの日のことを鮮烈に思い出させてくれる。氷人形となっている間は常に、自分は贖罪に向かって進んでいるのだと意識させてくれる。
 そして氷の身体を覆い隠すのなら黒がいい。暗がりの中では何もかもが意味を失い黒に溶け込む。なにものの意味も入り込むことを許さない。覆い隠すために存在する黒が、そのレーゾンデートルを確立するべく覆い隠すただひとつのもの——氷の身体を除いては。
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