pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
この世界の最も深い謎の一つは、徹夜明けのテンションというものだろう。トキワジムのトレーナーの一人が自宅から持ってきているゲームの数々を借りて、レッドとグリーンとブルーは夜を明かした。三人の遊びは対戦ゲームだけに留まらず、そのときは攻略本係とプレイヤーに分かれて、スネークゲームに夢中になっている最中だった。
不意にカーテンの隙間からすうと差し込んできた光に、プレイしていたレッドが顔を上げると、窓の外が明るく白んできているのに気がついた。それに意識をとられたのと同時にゲームオーバーとなり、三人はようやくゲームへの興味を失ったのだった。
「すげえ夜明けだぜ夜明け!」
睡眠不足のためしょぼしょぼとした目をいっぱいに見開いてレッドがはしゃぐ。そうだな、と相槌を打つグリーンの目の下にも濃い隈ができていた。イケメンが台無しだ。ブルーが我に返ったように、二人を見回す。
「ねえお腹空かない?」
「空いた! みんなでショップ行こうぜショップ」
「賛成! グリーンの驕りね!」
「おい」
そんなどうでもいいようなやり取りをしつつ、じゃれ合いながらジムの裏口から早朝の街へ一歩踏み出した。身体は重たくて気怠いけれども、ふわりと柔らかな秋の風に包まれて、まるで浮かび上がるような心持ちになる。秋の風は春の風と違って少しさみしい。夏の匂いと冬の匂いが半分ずつ混ざったような感じがする。徹夜明けのはずなのに、どうしてだろう。普段より感覚は鋭敏だ。
「そういやグリーン、今日仕事は?」
「帰って三時間寝たら仕事だ」
「ほんっと馬鹿ねー」
仕事の前日にゲームで徹夜をするなんて、何とも彼らしくない。いつも体調管理も仕事の一環だ、なんて言っているくせに。けれど、ごくまれにならそんな日もあってもおかしくはないだろう。彼だって人間だ。
逆光にそびえる黒々とした樹々の後ろの空には、青からピンクへと色を変えつつある朝焼けが見えた。足並みを揃え、横に並んで歩きながら。きれいだなあ、なんて口々に言いながら三人は秋の風を呼吸する。