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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
2026年06月22日 (Mon)
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2015年02月02日 (Mon)
リクエスト「レッド/グリーン/ゴールド/シルバーの先輩後輩小説」


「ポケモンリーグの歴代チャンピオンは、悉くマサラ出身者、ねえ……そんなジンクスあったんスか」
 洞穴の中を走り回るゴマゾウの子供達をあやしながら言ったゴールドは、どことなく腑に落ちないふうだった。とても立ち上がれるほどの広さのない洞窟の中、巨体を横たえたリザードンの尻尾の炎のお陰で、室温はかつてなく快適だ。グリーンはボールの中の不具のゴマゾウを油断無く見守りながらも、後輩の呑気な言いように少しあきれた。
「聞くだけ聞くと、どうもきな臭いように感じるんスけど」
「気持はわからんでもないが。ポケモントレーナーなら常識だろう」
「シル公も絶対知らねえっスよ」
「クリスなら知っているだろうな」
「ぐっ」
 変な音を立てて何やら言い詰まったゴールド。確かに、人がポケモントレーナーになるのは大体が自分の夢を追うためであるから、ポケモン泥棒を追って旅に出たゴールドや、幼い頃に自らを虐げた存在への復讐を誓って旅をしていたシルバーはそれに当てはまらないのかもしれない……、と考え、きっとイエローも知らないだろうなとグリーンは思った。案外偏見だったかもしれない、と彼は密かに反省した。だが、ポケモントレーナー……というよりは、図鑑所有者として、知っているべきだろうというのも正直なところだった。
「……ゴー」
「とっところで先輩、レポートいいんスか!?」
 初日に出してた資料とかパソコンとか、例のレポートじゃないんスか? 咄嗟に話をそらされた。無駄に勘だけは良い後輩である。しかも無意識ではあるだろうが、グリーンの泣き所を適確に突いてきた。何とも答えかねたグリーンは、尋ね返す。
「シルバーに聞いたのか?」
「へ? ……いや、ウツギ博士から。クリス経由っスけど。なんでシルバー……もしかしてあいつも知ってたんスか?」
「……手伝いを頼んだからな」
 グリーンは素直に驚いた。ゴールドとシルバーは傍目にも仲が良さそうに見えて、ずっと会っていないわけでもなさそうだったのに。そんなグリーンの心を読んだかのように、ゴールドはちょっと気まずそうに頭を掻いた。
「……あんま、知らないんスよ。あいつのこと」
「……よく会ってるんじゃないのか」
「会ってはいますけど。いつも適当にバトルして遊んで終わりっつーか。近況報告とかする柄でもねーし。マジでヤバイときはそもそもあいつ、俺と会ったりしないだろうし」
 だから、それで十分事足りてるんス、とゴールドは言った。
「しっかし、あのシルバーがねえ…………そーいや、確かに妙に忙しそうな時期あったなあ、だいたい暇してる癖に、雨の日に泊めてくれって来たと思ったら部屋で調べものしてたり、これから用があるからってゲーセンさっさと切り上げて行っちまったり。調子よく勝っててこれからってときによぉ」
 ぶつぶつと呟いているゴールドの口調はまるでギャンブラーのようで、グリーンは再度呆れた。シルバーもよく付き合っているものだ——まあ、シルバーは路銀稼ぎのためのバトルや自主的な修行の他、これといってやることもないからかもしれないが。独り言のようにだらだらとゴールドが喋り続けるのを、話半分に聞いていたグリーンだったが、その締めくくりの言葉が彼を突き刺した。
「ウツギ博士もクリスも、先輩のレポート楽しみにしてるみたいっスよ」
 雪山では、何の意味も持たない言葉の羅列は、オーキド博士の孫として、トキワジムリーダーとして、確かに意味を持っていたには違いない。それは決して小さくはないもののはずだった、当初、このレポートのためにここに来る誘いを断ろうとしていたのだから。
 しかし、それは、レッドのライバルでいるために必要なことではない。言葉を書き記す必要はない。記憶することも、伝えることも重要ではないのだから。ただ想いを共有し、高みを目指しながら、同じ今を共有するだけでいい。その想いや感情は、グリーンだけのものであるべきだ。言葉にするには惜しく、紙にうつすにもあまりに相応しくない。レッドのライバルとしての想いも、ジムリーダーとしての想いも、きっとどちらも本物なのだということに気付いてしまった。
 地上で暮らすことを選べば、グリーンが地上人としての仕事、レポートや、ジムの業務をこなしている間も、レッドは雪山で修行をしているのだろう。であればレッドと対等の位置に留まることなどできやしない。逆も然りだ。
 選ばなくてはならない。想いが等しく真実だとしても。であればいっそのこと——
「…………。助かったとしても、野生では生きていけないだろう」
 モンスターボールの中、鼻のないゴマゾウ。
 彼女のように、いっそのことどちらかを容易く選べるようになればいいとさえ。
「なら、俺ん家に連れて帰ったっていい」
 何も知らず、穏やかな眼差しで呟いたゴールドの目に、彼女はどう映っているのだろう。
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