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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
2026年06月22日 (Mon)
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2013年09月22日 (Sun)
影踏み少女と愛のうた(詳しくはこちら)のシルバーの父親へのフォロー。サカキ様のつもり。

男の選びとった道はあまりにも険しく、そして厳しかった。情とは無縁の世界。少しでも隙を見せれば、後ろからぶすりとやられる。彼が親と呼べるものとなってしまったのは、笑えるほどの矛盾と言わざるを得ない。
 生まれる前から離れ離れだった彼の息子が、十八になって帰ってきた。母親に瓜二つの顔立ちをした、まだ世間知らずの少年(十八歳の男にその呼称が相応しくないにしても、少なくとも、その父親にとってはその表現が的を射ているように思われたのだ)だった。だが、青二才なりに肝が据わっており、度胸も人並み以上にあった。頭の回転も悪くない。磨けば光るような素材におもわれた。
 初めて会った息子に対して、全く情が湧かなかったといえば嘘になる。つい二年前に、もうひとりの息子を失ったばかりでもあった。けれども、男は情と呼べるものの一切を捨て去って久しく、一目息子を見たときに心のうちに僅かばかり隆起したなにかが、情だという確信すらおぼつかなかった。それでも、後にそれが情だというものに気付いたのは、気付けば、もうひとりの息子の形見を手渡していたからだ。これまでの人生をあたたかな家庭で過ごしてきた彼が、冷たい世界で生きるにあたって、せめて、会ったこともない兄弟の存在をあたえたかったのかもしれなかった。
 一年と二ヶ月後、彼は死んだ。密会(本人達はそのつもりだっただろう)していた義姉が組織の一部に利用されようとしていることを知って、護身用の拳銃で自らの頭を打ち抜いた。その話を聞いたとき、男は、やはり彼は自分の息子だったのだ、としみじみと思い至った。仮令本人が望まなくとも、彼は彼の悪にたどり着いた。孤高にして究極の悪、それをもって彼はあらゆる愛を完遂してみせたのだ。
 もしこの世界に悪と呼べる物体があるとするならば、そのひとつは男の血かもしれない。彼は生まれた瞬間からその死の瞬間まで、悪でないものにはなれそうになかった。息子を二人失っても、世界がひっくり返ったとしても、彼は自らのあるべき姿を追い求め続けることを止められない。失った一切などどうでもいい。ただ、進み続けるのみ。

(男の息子は、悪人にも、英雄にもならなかった。彼は愛になった。そして、死んだ。)
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