「そういえば先輩って、グリーン先輩と遊びに行ったりしないんスか?」
どうしてそんな話になったのか、よくは覚えていないけれど。ゴールドが不思議そうな顔をしてそう尋ねてきたのに、思わず呆気にとられてしまった。思い返してみれば確かに、グリーンと遊びに行った記憶など一度としてなかった。ポケモンバトルを彼の言う「遊び」に含まないのであれば。
「……そういえば、あんまりしないな」
へー、とゴールドが片目を細める。このちょっと捻くれた後輩の、こういう大人びた仕草にはまだ少し慣れないような気がした。あの子あんたより頭いいわよ、とはブルーの弁。びっくりするほど真顔だったので、多分本当なんだろう。一見単純なように見えるこの後輩は、俺なんかには及びもつかないほど難しいところがある。実際、時々俺はゴールドの言っていることが分からない。
「そういうゴールドはシルバーと遊びに行ったりするのか?」
「行きますよ。コガネのゲーセンなんか特に」
「ゲーセン?」
ゴールドにはともかく、シルバーとは馴染まないような単語だ。
「まあ、あいつはテーブルゲームのが好きなんで、俺ん家でカードっつうときも多いですけど」
聞けば、平均一月に二、三度、遊びに出かけているらしい。クリスは? と聞けば、ゴールドは頷いた。
「クリスは忙しいけど、二、三ヶ月に一度は三人でメシ食いに行ったりしてますよ」
どうやら後輩達は、俺たち先輩よりもしっかりと友達をやっているようだ。なんだか複雑な気分になる。別に俺は今までのグリーンやブルーとの関係で満足しているし、仲が悪いとも思っていない。それに、グリーンとゲーセン? シルバー以上に、ちぐはぐするような取り合わせだ、と思う。
グリーンやブルーと遊びに行きたくなかったわけではなくて、遊びに行く、その発想自体が無かった。グリーンとは気の合わない同士だったし、ブルーには騙されっぱなしだったし。今でこそ信頼で結ばれてはいるけれど、たぶん、友達、とはちょっと違う。戦友。きっとそんな感じだ。だから平和な日常のなか、遊びに行くなんて、思いつきもしなかったんだろう。
「今度、遊びに誘ってみたらいいじゃないっスか」
盛り上がらなさそうなら俺もシルバー連れて参加するんで! ブルー先輩いるならクリスもっスかね?
俺のことなんか置いてけぼりで話を進めるゴールドだったが、それもいいんじゃないかと思う。別に、今までの関係に不足を感じていたわけではない。けど折角の平和なんだから、たまには後輩達を見習って、俺たちも、友達をやってみようか。