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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
2026年06月22日 (Mon)
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2014年12月28日 (Sun)
リクエスト「シルブル」


 シロガネ山の麓には、いくつか掘建て小屋がある。野生の気配を色濃く残し、整備された道路とは比べ物にならないほど強靭な野生ポケモンの生息するこの山は、登ることはおろか、人を寄せ付けまいとするかのように深い樹海が広がっている。
 この山に挑もうとする人間が殆ど居なくなった今だが、かつて多くの人が果敢に挑んだ名残として、麓の樹海にはいくつかの休憩所が残っていた。未だにほそぼそと運用されているものもあれば、すっかり忘れ去られて今にも朽ち果てようというのもある。その、忘れ去られている休憩所のうちのひとつが、最近のシルバーのもっとも上等な住処となっているのだった。今や彼は、一日のほとんどをその小屋に籠って過ごしていた。何故かというのには、つい二ヶ月前にさかのぼる。
 二ヶ月前、彼がのめりこんでいた特撮番組、タウリナーΩの放送が終了した。彼は友人ゴールドの屋敷にて厳かに最終回を迎えた。そしてその日のうちに、彼は長らく世話になっていた友人と屋敷を預かる母親に礼を言ってその屋敷を後にし、先輩に当たるグリーンに以前より貸し出しを依頼していた五冊ほどの書物を受け取り、前々から目をつけていた打ち捨てられた小屋に引きこもり、うち一冊の本を開いたのだった。それから彼がやることといえば、ひたすら読書に耽り、無くなったら新しい本を借りに行き、そしてまたこの小屋に戻ってくると、その繰り返しだった。
 この行動に関して、彼の真意を知るものは少ない。それはシルバー自身が話す機会に恵まれなかったというのもあるし、近しい友人たちが、差はあれどもシルバーのこのやりかたを知っているというのもある。即ち、シルバーという人は、目標を見定めたら、それに向かって具体的なプランを自分で考え、落ち着いて一つずつこなしていくことができる人であって、放っておいても心配するようなことは無いということだ——強いていうなら、のめりこみすぎるきらいがあるので、たまに食事の心配をするくらいか。
 今日もシルバーは、密生する樹木に日差しを遮られた薄暗い小屋の中、ひたすら文字を追っていた。そのときに不意に、がちゃりと音を立てて扉が開いたので、彼は顔を上げてから、思わず唇を綻ばせた。ずいぶん長いこと表情の変化が無かったためか、自分でもどことなくぎこちないような気がしたが。揺れる長い髪。真っ白な毛皮のコートの下、ホルターネックの黒色のワンピースの裾がふわりと広がった。
「ねえさ」
「シルバー!!」
 呼んだ言葉を完全に上塗りされた上、ブルーはハイヒールとは思えない軽やかさで駆け寄ってくると、本の中に埋まっているようなありさまのシルバー目がけて飛び込んで来た。
 いくつかの本が崩れ落ちたのを目視するだけの余裕もないまま、シルバーは咄嗟に手を後ろについて、背中から倒れそうになるのを踏みとどまる。毛皮かと思ったが、どうやら人工のフェイクらしい。もさもさとした感触が口の中に入りそうになって思わず唇を閉じたところで、尚更ぎゅっと抱き締められて息苦しい。何とか呼吸をしようともがけば、香水と化粧の香り——口に出したことはないがシルバーの苦手な香り——が喉を圧迫する。
「ゴメンねシルバー、もっと早くに会いたかったんだけどあたしのほうもいろいろ忙しくて!!」
「待っ……ねえさ、苦しい」
「……あ、ごめん」
 我に返ったようにブルーは呟き、ぱっと弟分を解放した。シルバーは大きく呼吸をしなおして、濃厚に残る香水の香りに僅かに眉をしかめた。
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