pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
学パロ/ジョウト組
一時限目にある数学の授業ほど一日のやる気を削ぐものはない。とは、クリスの友人のゴールドの談である。クリスの斜め左手前に座る張本人は、言葉に違わず机の上に張りつき、完全にダウンしていた。数学の講義を子守唄か何かと勘違いしているのではないだろうか。とはいえ、数学教師の声は確かに眠気を誘うところがあるのも確かで、クリスも出かけた欠伸を飲み込んだ。
教室に満ちるダレた雰囲気を払拭し、目を覚ますために窓の外へ視線を向けて気持ちを切り替えようとした矢先。ちょうどクリスの隣の窓際に座るシルバーも眠っていた。その姿に、思わず目を瞬く。
(……相変わらず綺麗に寝るわよね、シルバーは)
呆れと感心の中間のような心持ちでつぶやく。机にべったりと上半身を投げ出すゴールドと違い、シルバーは姿勢を正したまま居眠りをする。シャープペンシルも握ったまま。少しも動かないのでずっと見られていればバレてしまうが、一見居眠りをしているとは思われない態勢である。今日は少し違って、頬杖をついて眠っていた。
「……じゃあこの問題の一番から五番、出席番号六番から十番の人、前に出て解いてください」
不意に耳に入ってきた教師の声に、クリスはハッと我に返った。六番から十番はシルバーも含まれていたはずだが、隣の居眠り生徒が目を覚ます様子はない。声をかけるも、彼は相変わらず眠っているばかりだ。問題の解き方を把握した生徒からガタガタと立ち上がり始めたのを見て、クリスは比較的当たりのソフトな蛍光ペンでシルバーの立てた肘を押しながら、潜めた声で起こそうと試みる。
(シルバー、指されたわよ!)
疲れていたのだろうか、なおも目を覚まさない彼を起こそうとぐっと蛍光ペンに力を入れたそのときだった。立てた肘が崩れた。瞬間、シルバーはかっと目を開いて反射神経だけでバランスを取り戻す。が、その拍子に椅子が揺れ、がたりと大きな音が立った。一斉に振り向いた生徒と教師。
「…………」
バランスを立て直すために腰を半ば浮かした状態で数秒呆然としていたシルバーだったが、そのまま教科書を手に立ち上がる。クリスは教科書の一点、シルバーのやる問題を指で指し示していた。彼は横目でそれをさらうと、他の生徒達に混じって何事もなかったかのように前に出て問題を解いた。
居眠りをする割に、シルバーは勉強が出来る。先ほどまでの講義を寝ていたにも関わらず、彼はそつなく正解を導きだした。彼が席に戻って一息をついたクリスに、隣からノートの切れ端。
『助かった あとで何か礼はする』
クリスは苦笑する。普段であればシルバーは、自分が指されたときには起きていることが多い。居眠りとはいえども微睡んでいる程度なので、自分に関することはちゃっかり耳に入れているのだそうだ。
『昼休み、アイス半分こね。ゴールドの奢りで』
普段は授業中に返信をしないクリスが珍しくそう返せば、シルバーが小さく肩を揺らして笑った気配がした。素知らぬ間にアイスを奢ることになった当人は、相も変わらず平和な寝顔を晒して爆睡している。