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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
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2015年01月14日 (Wed)
リクエスト「レッド/グリーン/ゴールド/シルバーの先輩後輩小説」


「おかえりーっス!!」
 洞穴に滑り込むなり、威勢の良い後輩の声と共に、むっとするような熱気、食欲をそそる油の匂いが纏わり付いて来た。レッドが歓声を上げて這っていった先を見ると、ゴールドが火にかけた三つの飯盒のすぐ傍でおたまを揺らしている。アルミ製の丸っこい調理器具の中では、ぐつぐつと赤色のスープが揺れている。
 キャンプ地の洞穴に入る直前、まるで執事か何かのようにレッドとグリーンに先を譲ったニューラが続いてするりと降りて来て、壁際にいるシルバーのもとへ戻って行った。何の料理だ、とレッドが尋ねるのに、トマトと豆のスープっスよ、レンツ豆とひよこ豆と、押し麦も入れて、そうそう、あと牛肉も! そんな会話を背にしながら、グリーンは焚き火よりも手前側で、ちょうどニューラをボールに戻したところのシルバーに目をやった。
「すまなかったな。迎えまで」
 声をかけると、シルバーは、いや、と素っ気なく応える。グリーンは遠目に焚き火を囲むふたりの姿を見やり、再びシルバーに視線を戻した。おそらくそもそも迎えを遣ろうとした発端は、彼のほうだろう。仮にそうでなかったとしても、遅いか早いかの問題で、彼は必ず迎えを寄越したに違いない。
「レッド」
 グリーンはその場で、レッドに顔を向ける。彼は焚き火の傍で、ポケモン達を回復させていた。丁度良い。
「ブイを出しておけ。常に天候の予測をしておきたい」
 傷は回復させたとしても、先ほどのバトルの疲れの取れていないところ、ブイには苦労をかけるが。レッドはきょとんとして、忘れてた、と呟いた。
 やがてマグカップ大のアルミの容器に、三分の二ほど盛られた料理は、スープというよりは煮込み料理に近いように感じた。香草の浮かぶトマトのスープにスプーンを入れると、これでもかと詰め込まれた豆の層に突き当たる。掘り起こしてみれば、繊維状になった牛肉の解し身が覗いた。ほどほどに掬って口にいれると、思ったよりもずっと普通だった——というのも、こういった条件の厳しい状況での料理は、材料の不足や、保存のしにくさから、料理が得意であったとしても、まともに作れることのほうが少ないからだった。予想していたトマトの酸味はそれほどでもなく適度に薄められ、それから申し訳程度の、コンソメかブイヨンと思しき旨味成分。絶品と呼ぶには味気ないが、調理の残骸を見るに、転がっているのは数個の缶詰だけだ。どれもきれいに使い切られている。
「流石ゴールドだよな、普通にうまい。しかもきっかり使い切ってるし」
「へっへー、それほどでもないっスよ」
「なんかコツとかあんの?」
「コツう? うーん……俺、ちょくちょく自炊してたんで、どの缶詰がどういう味するかって大体覚えてるんスよ。あとは、ラベルの成分一覧かな? こいつで大体予想できるんスよねー」
 ラベルの成分一覧、そんなんで分かんの? と、訳知り顔のゴールドの手元を覗き込むレッドを焚き火の向こうに眺めながら、グリーンはふと、レッドの言葉を思い出す。最近、お前と何を話していいのか、分からなくなるときあるんだ。ゴールドやシルバー、ブルーと話すときは違うというのかと考えて、自分もまた、人のことは言えないのだと気付く。レッドとは、今まで多くの言葉を交わしたはずだった。とてつもなく多くの、ひょっとしたら今まで関わって来た人々の中で、レッドとは最もたくさんの言葉をやりとりしていて、それ以上が考えられないなんて、そんなふうに感じていたことを自覚した。冷静に考えてみれば、レッドとのやりとりなんて、グリーンの生活のごくごくイレギュラーなケースの一つに過ぎなかった。それなのにどうして、振り返ってみると、確かにレッドとは誰よりも多くのことを語り合った気になっていた。今になって考えてみれば、言葉の数など二十思い出せるかどうかすら怪しいところなのに。
 レッドはいま、流暢に喋っている。ゴールドにかけるべき言葉を見つけ出す。レッドからグリーンへ、またグリーンからレッドへも同じことには違いないのに、今、答を求められれば、自分でも言葉が見つからないのに決まっていることもグリーンは知っていた。
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