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pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
2026年06月22日 (Mon)
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2014年06月04日 (Wed)
罪人に花束、没シーン
三人両想い前提のゴシル、きもちR-15


 海へ、出かける。
 ベランダの隅に並べて置いてある、黒と赤の二台のバイクからビニル製の覆いを取り去る。黒いほうはシルバーの所有物で、四年ほど前に、グリーンの手伝いをするために購入したネイキッドだった。赤のほうも同じくネイキッドで、こちらはゴールドの所有である。移動に便利だから、という理由で一年半前に買ったものだったが、そのときは随分と周りを驚かせたものだった。ゴールドのことだから、こう、ふんぞり返った感じの……ハーレー? にするのかと思ってた。おまえ派手なの好きだろ、という疑問をありありと表情にのぞかせて尋ねたのは、彼の先輩であり師にも当たる人物である。それに対してゴールドは驚くほど淡白に返した。ああ、クルーザーっスね、そりゃカッコイイっスけど、でかいし重いし、あんま生活向きじゃないじゃないスか。先輩はなんだかひどくびっくりしたような顔をしていた、とゴールドは今になっても思い出す。このバイクを見るたびに思い出しては、お決まりの言い訳をして、ちくり、心が痛むのも見ない振りをしていた。だって、しょうがないじゃないですか。ありふれたネイキッドに腰を据えてヘルメットをかぶり、後ろのクリスもヘルメットをかぶっているのを確認して、差し込んだキーを回した。いつの間にか、たった二キロの道のりにも、バイクを使うようになっていた。
 海岸沿いの駐車場にバイクを停めて、彼らは砂浜へ足を踏み入れる。海開きまではまだ二月ほどあるものの、ちらほらと海岸で遊ぶ人々の姿が見えた。持って来た折りたたみ式のビーチパラソルを開いて、ゴールドとシルバーは二人掛かりで地面に固定する。
「あれ、クリスは?」
 パラソルの準備も終わって、ふと気付けば忽然と姿を消していた彼女の姿を探して辺りをぐるりと見回すと、二十メートル先の波打ち際で、何やらしゃがみこんで、泣いている子供を宥めている様子だった。やがて彼女は子供を励ましながら、その手を引いて歩き出した。その向こうで両親らしき人たちが、慌てたように駆け寄ってくるのが見え、ゴールドはほっと息を吐き出して、既にパラソルの影の中で座り込んでいたシルバーの隣に腰を下ろした。ふと気まぐれに、その横顔をちらりと見る。
「見つかったみたいだな」
 ああ、とだけ、少し掠れた声であっさりとした相槌が返ってくる。淡白な反応も特に気にすることなく、ゴールドはぼんやりと海を眺めながら、ふと気付く。……そういやコイツとも、あんまり喧嘩しなくなったな。かつての売り言葉に買い言葉の応酬、最もそうしたやり取りが全くなくなってしまった、というわけではないが、もしかすると今となってはポーズに過ぎないのかもしれなかった、でも。
「シルバー」
 呼ぶ声に視線をこちらへ流そうとしたシルバーに、反応する暇を与えず、顎を引っ手繰るように口づけた。彼は初めこそ驚いたようだったが、大して慌てた様子も見せることなく、受け身に甘んじることにしたらしかった。めずらしい。ゴールドは内心で呟くと同時に、少し、自分の軽率さを反省した、けれど今彼の顔をまともに見返したらわけもなく泣いてしまいそうで、止められなかった。
 だって幸せなんだ。ゴールドは言い訳のように何度も呟く、どうしようもなく幸せなんだ。二人共好きだった、しかもそのうち一人は男という絶望的な状況で。けれども偶然が何度も味方してくれたような巧妙さで、今は三人両想いで一緒に暮らしている。ここまで来るのに、犠牲も少なからず払って来た、けれどその結果としていまが幸せで、それが全ての筈なのに、どうして時にひどく泣きたいような気持ちになるのだろう。そんなこと、あるはずない。確かめるように執拗に口腔を貪る。縋るように辿った目線の先、間近にあるシルバーの瞳は悲しそうに細められていて、どきりとする。目が合った瞬間に、黒手袋をした手に、やんわりと押し返されて唇が離れた。
「馬鹿」
 らしくもない、力の抜けたような声。
 突然、黒手袋がぐっと肩を押し返し、唇が離れた。シルバーは無言でゴールドの肩越しを指さし、ゴールドが振り返ると、ちょうど子供と両親が合流したところだった。クリスがしきりに頭を下げられている。
「あまり見るな。勘づかれるぞ」
 その様子を眺めていると、後ろから、シルバーの面倒そうな声がつぶやいた。誰にとは言うまでもなく、分かってるよ、とゴールドは視線を逸らしてぼんやりと海を眺めた。五月にしては日差しが強く、むらのある海風が顔面に向かって吹き付けられる。これでは自慢の前髪も――そこでふと気付いて、ゴールドは指で前髪のあたりを探った。そういや最近整えてねえな、エーたろうもいねえし。一人ごちる。まあいいか、無くて困るもんでもねえだろ。鷹揚に構えてそっとシルバーを盗み見る。彼は温度のない瞳でぼんやりと海を眺めていた。
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