pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
学パロ/ジョウト組
ゴールド? しんと静まり返った放課後の教室に、クリスの呼ぶ声だけが落ちる。窓枠に腰掛けていたシルバーが、あいつならもう帰った、と事も無げに言う。クリスは心細そうに俯いて、そう、と暗い声で呟いた。
「大丈夫かしら、ゴールド」
「……。……じきに暗くなる。そろそろ帰ったほうがいい」
「シルバーは?」
「もう少ししたら、帰る」
珍しくクリスはそれ以上何の追求もすることなく、別れを告げて教室を出て行った。それから暫くして、夕焼けの色を重ねたようなグラウンドの上を横切って行く彼女の後ろ姿を窓の外に確認したシルバーは、おもむろに呟いた。
「……行ったぞ。ゴールド」
のそり、と教壇の下から少年が一人、這い出した。暗い顔で俯いたまましばらく、俺らはさ、とぽつり、呟いた、それが引き金となったかのように、彼は一気に堰き切って喋りだした。
「俺らはさ、自発的に『生まれる』わけじゃないと思ったんだ。母親の腹ン中にいるあいだって、生まれる前か、それとも後か、どっちだと思う? 俺はどっちでもないと思う、ってか、そもそもがそういう問題じゃないと思うんだよな。だってさ、生まれる前ってつまり存在しないってことだろ、存在しないものに対して何かを感じたり思ったり考えたりすることってできないじゃん。だから、母親とか周りが、その存在を認知したとき、俺らははじめて生まれると、そう思ったんだよ。わかるか。だってもし生まれるまえだったなら、それが失われたところで、こんなに悲しいはずがないんだ、なあ、そうだろ、」
「五月蝿い」
シルバーはぴしゃりと言い捨てる。
「……黙って泣いてろ。ええかっこしいめ」
ゴールドはそのまま、くしゃりと表情を歪め、泣き崩れた。彼の家のポケモンが卵の中で死んだ、とある日のことだった。