pkmnsp 二次創作ブログ / CP雑食
ブルー。弟について。
怒って、くれたの。
あたしが辛いとき、あの子は怒ってくれた。あたしの敵に。あるいは、あたしが辛いという事実に対して、腹を立てた。あの子の怒りは静かで、けれど針のような雨よりも鋭くて、瞬きすら忘れるくらい、眩しかった。
まっすぐに突き通るような強さが、危ういほどの一途さが。
羨ましかったの。
あの子の世界は至ってシンプルで、あたしへの道がただただ続いていた。そしてあの子はそれしか見なかったし、見えなかった。ひらめく銀の眼差しはいつだって一つの方向を向いている。まるで流れ星。紺碧の空に白い傷をつける。決められた完璧な軌道を描くの。風が向けば躊躇いもせず、地球の裏側にだって翔んでいく。ああ男の子だなあって。ほれぼれする。あの子の怒りは綺麗過ぎて。呼吸さえも止まる。
凍った硝子のような眼差しに、ぞっとすると同時に白い息を吐く。この子は、ただあたしに守られるだけの存在ではないということ。怖かったのよ。
いつからか、あたしがこの子を守ってあげているのじゃなくて、この子のほうがあたしに守らせていてくれるようになって。あたしがこの子に甘えていた。いつまでも子供のままだって思っていたのに。やさしいこの子は何も言わずとも、おとうとでいてくれた。そしてこれからも。あたしが望めばいつまでだって。
怒って、くれたの。
呟いた。息も凍るような冬の夜のこと。
もう、あたしのために怒らなくていいよ。
おとうとは、かなしい顔をしてすこし笑った。